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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第58章 虎と虎



『槇寿郎さんも、
気付いてるんじゃないんですか?
僕が僕で無い、
もう一人の僕になる時があるのを』


その言葉で 全てに納得が付いた


時折 日だまりの様な彼から


感じ取れる異質感


冷たい 凍てつく 氷の様な


冷ややかな気配の存在



『あの夜に、彼女を汚した張本人は…。
紛れもなく、アイツであり、僕であり。
アイツは…居るんです、ずっと、居る。
僕の中に…居る、そう、今も』


『透真、お前…は、
それが…何を意味してるのか
分かってるのか?』




『彼と僕は…全くの別物でもない…から。
彼が彼女を、そう求める様に。
僕も彼女から離れられない。
彼と自分の感情に、
あげはちゃんへの想いに。
僕自身がきっちりとした線を、
引く事が出来ないでいるから。
彼は、彼女の脅威でしか過ぎない、
けど、僕しか彼女を彼から守れないから』


鬼殺隊 最強の水柱と
賞賛されていた三上透真は



そう あげはの話をする時だけは


只の一人の女を愛した


一人の男にしか過ぎなかった…な



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ーーー
ーー





ぬっと 視界が黄色い何かで塞がれて


それが自分の顔を覗き込む


杏寿郎の顔だと 気が付いた



「父上?如何なされましたか?
ぼんやりとされておられたご様子」


「なぁ、杏寿郎」


「何でしょうか?父上」


「あげはは、そんなにいい女か?」


そう問いかけると
杏寿郎は目を瞬かせて


「それは、父上もご存じにありましょう?
俺は、あげは以外の女性の事が
目に入らない位には、
彼女に夢中にありますが…」


「とんでもない、女狐…だな。アイツは。
杏寿郎、お前はどこまで知っている?
いや、夕食が済んだら。俺に付き合え」


それ以上の事を槇寿郎は
杏寿郎に尋ねるのを止めて

そのまま 体勢を整えると

中庭を後にして行ってしまった


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