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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第58章 虎と虎



この短期間で
一回りにも 二回りにも
…化けやがった…な コイツは

その態度にばかりに
気を取られていて

言った内容を 反芻すると

あげはに教えを乞うた…だと?


ぴくッと槇寿郎が反応を示して

ある結論に辿り着く


「そうか、それがお前のその
呼吸が、変化した理由か。
だからと言っても、お前のその
呼吸は、俺と同じ炎の呼吸に過ぎん」

炎の呼吸にならば
俺にも少々…覚えがあると言う物

ビリッと張りつめた糸を
更に張りつめた様に

場の空気その物が 震える


ゴクリ…と千寿郎が
思わず固唾を飲みつつ
その睨み合う
虎と虎の姿を見つめていた


ザリッと槇寿郎が砂利の音を立てて
自分の足先の角度を変えると


その音で杏寿郎にも

不知火が来ると分かったから

合わせる様にして


杏寿郎も足先の角度を変えて


木刀を倒し気味に構え直す




「「炎の呼吸 壱ノ型 不知火っ」」



同時に2人が地面を蹴って


一瞬にて中央で
お互いの薙いだ木刀がぶつかり合う

乾いた それでいて 重い音が響いて


「同じかどうか…、判断をして頂きたい。
元、炎柱である、父上、貴方にッ!!」


その時に 聞こえたのだ


ザリッと砂利を鳴らして
杏寿郎が更に踏み込んだ音と


そして 一段と深く 


音の増した


炎の呼吸の音が 槇寿郎の耳に届いて


ー来るー と気が付いて


振り抜いた 木刀を自分の元へ引き戻すと


自然と自分の口の端が
知らず内に曲がっている事に気付いて

こんな時も どうやら…
俺は喜んでいるらしいと 気が付かされる

一度は剣士を止めて
日輪刀を置いた身でありながらに

代々に引き継がれて来た
自分の中に流れる


煉獄 の家の血脈は…


紛れもなく俺の中で

そして 目の前の

鋭く牙を研ぎ澄ます 杏寿郎の中にも


受け継がれて流れている…訳か

やはり…血は 争えんな…


どうだ?そうは…お前は思わないか?


杏寿郎



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