• テキストサイズ

その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第58章 虎と虎



彼のこの性分なのだ

一度 蝶を残すのを許してしまえば


その蝶をずっとその場所に
留めさせて来そうだしな


その跡が 痣の様な色素沈着に

なってしまわずとも


ずっと 消える前に重ねられ続けるのなら


それは 消えない跡と
同じ意味なんじゃないかって


そんな事を考えてしまう


「っと、遅くなり過ぎてしまったな。
稽古、をしに行くか?あげは」

「誰の所為で、
遅くなったとお思いにあられますか?
杏寿郎の所為に、ありますよ?」

「ははははは。
あげはと話して居ると
まるで、工藤とでも話してる様だな」

「何とでも仰って下さいませ。
もう、杏寿郎は、私よりも
先にお戻りになられておられましたのに
まだ、お着換えもされておられませんし」

ちゃんと合わされて居ない襟元を
あげはに整えられてしまって

「私は、少し、遅れて行きますので
杏寿郎は先に」

一緒に戻るのではなくて
先に戻る様に言われてしまって

不満そうな杏寿郎の背中を押して
離れから追い出して 戸を閉めた

そのまま 戸に自分の背中を預けて

ふぅーーっと息を吐き出すと

あのまま 口付けをしたそうにしていた
杏寿郎に口付けを許してしまえば

それこそ また 更に
ここから出るのが
遅くなってしまいそうだったし


自分の目には映らない
項に居る 蝶にあげはが
自分の手を重ねると


私の目にも映らない場所に居る

この項の蝶は

杏寿郎にしか見えない蝶でしかなくて


この蝶見えないよね?
正確な位置分からないけど

明日は結納なんだし 髪は上げるのだから

襟元から見えてしまっては困る


「杏寿郎と、結納…」


でも こうしてると

明日なんだって自覚がなくて


明日彼と結納を取り交わすのだと
前日になって居るのに
未だに自覚が出来ずに居て

他人事の様に 現実味がなくて

カナエちゃんの振袖を

明日着るのだと そう意識をしてみるも

どうにも そんな気がして来なくて

全く持って自覚が

湧いて来なくて 夢でも見てる様だった



明日の事…なのに




/ 1961ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp