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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第58章 虎と虎



見逃すも何も 薄れていた蝶は

今はそこでしっかりと
赤い蝶になってるのだから

それを戻してと言って戻せる物でもないし


「今回…、だけにありますよ?杏寿郎」

「今回は、いいんだな?」


ニヤッと目の前の杏寿郎が笑ったのが見えて

今回だけと跡を付け直した事を
許した事を 一瞬で後悔したのだが


時すでに遅しで


「今回は、いいんだろう?なら、
こっちにも、居ただろう?もう1匹」

「違いますッ、違いますからっ!
そっちの蝶も引き留めて頂かずとも
大丈夫にあります、こちらの蝶だけで
私は十分にありますのでっ」


杏寿郎が 許可されたと都合のいい

解釈をして

もう1匹の項の蝶も

印が消えてしまう前に付け直したいと

そうこちらに申し出て来て


「ほら、あまり遅くなると
千寿郎にも、父上にも変に思われるぞ?
違うか?あげは。なに、君さえ
大人しくしてくれれば、すぐに済む」


そう 悪い人が言いそうな
そんな常套句を杏寿郎が言って来て

むぅっと腑に落ちない様な
そんな表情をしながら

ここで 跡を付け直し直させないの
やり取りを杏寿郎と不毛に続けても

彼の性分では引く事はなさそうなので

それこそ そんなやり取りを
ずっとして居れば 
変に思われるかも知れない


スルッと杏寿郎の指先が
項から背筋を撫でおろして来て

ギュッとあげはが瞼を閉じると


自分の着物を少し落として

項と肩甲骨が出る位に下げると

杏寿郎に自分の背中を向けて



「杏寿郎…その、手短に…お願い致します」


「なら、手短に…だな」


チュ…ウ と項の跡に

重ねて跡を残されて


私の目には見えない その蝶は


どんな色をして居るのだろうかと

こんな風に それを許してよかったのかと


彼の残した 蝶の事ばかりを


あげはは考えていた




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