第57章 焦れる焦燥 ※Rー18
彼のとの間に
子供を授かった時には
食べる事に感謝出来る子に
彼のご両親がそう 彼を育てた様にして
育てられたらと 育って欲しいと
そんな事を あげはは考えていた
蝶屋敷に来た頃の
カナヲの事を思い返しながら
貧乏暇なし子沢山とは言うが
未だに 口減らしも 横行してるのが現実だ
堕胎や子殺しが禁止されていても
貧しい農村には 今も
隠れて そんな風習が残って居る
鬼に親を殺された 孤児を保護する事も
鬼殺隊をしていれば
しばしばにあるが
その子が親からどれだけの愛情を受けて
育てられた子なのかは
箸の使い方と 歯を見れば分かる
私も箸の使い方については
父に引き取られて 大分 直された
「あげは、そろそろ行くか?」
「ええ。そうですね」
お昼ご飯を済ませて
会計も二階の個室で済ませた
下の階に降りるのは
少々気恥ずかしかったのだが
隣の杏寿郎はそれを
気に留めている様子もなくて
下の階に居りて ある事に気が付いた
下の客席に 客の姿がひとりもない
昼の時間は過ぎているが
すっからかん なのだ
慌てて杏寿郎の方を見ると
そうだと言いたげな顔をしていて
「あまりにも、上で
夢中になり過ぎてしまっては。
下の階のお客さんが
食事をしにくくなってしまっても、
お互いに気を遣うだろうと思ったからな」
「そうに…ありましたか…、
すいません…、私が…自分の声を
抑える事も…できませんばかりに…ッ」
「抑えて貰う必要もないがな。
それを聞いていいのは、俺だけだろう?
それに、君にそれを抑えられなくしたのは、
紛れもなく、俺だろう?」
その杏寿郎の
声を潜めた問いかけに対して
あげはが小さく首を縦に振った