第57章 焦れる焦燥 ※Rー18
私が こうなって
すっからかんになって行くほどに
自分で自分が分からなくなって
どうしようもなくなってしまう程に
私の中が 全部
貴方で満たされて行くのだと
「あぁっ、んんっ、杏寿郎っ、
ンんッ、はぁ、ああっ、ん
んんっ、やぁ、んっ、ああぁああんっん」
「…っ、ハァ、ハァ、…く、
ぁ、ハァ、あげはッ、…う、っ…ハァ」
真っ白に溶けた消えた
何もない世界の中で
自分の中に吐き出される熱が…
中を満たす感覚と
満ちる 幸福感を
ぼんやりと薄れゆく意識の中で感じていた
ーーー
ーー
ー
いつの間にかうとうとと
眠ってしまって居た様で
ハッとあげはが目を醒まして
気怠い身体を
のそりと布団から起こす
時間…どれぐらい経ったんだろう?
とりあえず 用意されてる
濡らして絞ってある手拭いで
身体を拭いて
着物ちゃんと着直さないと…な
そんな事を
ぼんやりとした頭で考えながら
自分の着物が何処にあるのかと
布団の周囲を見渡した
少しばかり離れた位置に
畳の上に脱ぎ散らかしてある
自分の着物と長襦袢を見つけて
その乱れて 脱ぎ散らかした様に
先程の情事を思い出してしまって
自分の頬と自分の芯に
熱を帯びるのは感じて
気恥ずかしく なってしまいつつ
気持ちが落ち着いて
冷静になって来ると
ハッとある事に気が付いてしまった
こんな所で かなりお構いなしに
はしたない声をあんなに
自分が上げてしまって居たんだ
きっと 下の階にも
相当に 私のあの声を
響かせてしまっていたんじゃないかって…