第8章 療養編 蝶屋敷にて
次の日の朝ーー
炭治郎が不意に目を覚まして
ある事に気がついて
隣でまだ寝ていた善逸を叩き起こした
「なんだよ?炭治郎…、もうちょっと
寝かせてって…!!これっ、炭治郎っ!」
「煉獄さんも、あげはさんも…生きてる!
それも戻って来てる!」
ガバッと炭治郎が善逸に思わず抱きついた
とても嬉しかったんだがどこにぶつけたら
いいのか分からなかった
「ちょ、やめろってば、俺に抱きついて
どーすんのっ!炭治郎ってば!」
「すまん、善逸…嬉しくて、つい…」
伊之助は起こしても
なかなか起きないのは知ってるので
起きてくれる善逸と
喜びを分かち合いたかったのだが
「炭治郎。それより、お前、
鼻…大丈夫かよ?」
同情するかの様に善逸が聞いてきて
「善逸こそ、耳は大丈夫なのか…、
俺としては2人が、上手く行って良かったけど
…これは凄いな…」
匂いを嗅いでるだけで
こっちまでドキドキしてしまいそうだ
恋してる音は正直
聞いてるだけで幸せな気持ちになるから
好きな音だったんだけど…
正直…あの人の声くらいうるさいな…音
「音は、うるさいけど…、いい音だ。
幸せな…音がする」
そう言ってうるさいと言いつつも
善逸はその音を
まんざらでもない様子で聞いていた
昨日の夜は
早くに寝てしまっていたので
思っていたよりも早くに目が覚めてしまった
まだ夜明け前の様だった
隣のベットに目を向けると
杏寿郎はまだ眠ってる様だった
あ そうだ前に寝顔見られたんだ
ちょっとくらい見ても バチは当たるまい
あげはは そーっと
眠って居る杏寿郎の顔を覗き込んだ
「ーーー!?」
思わず声を出してしまいそうになって
あげはが口を押さえた
は?え?何これ…どう言う…事?
聞いてない 聞いてないしっ!
何?何なの? こんなの反則じゃない?
か 可愛いすぎるとか…卑怯だし…
可愛い 可愛いて男の人におかしい?
いや でも可愛いっ
何?腹立つほど可愛いんだけど?
こうして見ると
まだあどけない顔をしてるんだな
知らなかった…それにしても可愛い
しばらく時を忘れてその顔を眺めていると
パチッ 大きな目が開いて…
視線がぶつかって
あっ しまったと思っていたら
布団の中に腕を掴まれて引き込まれて
しっかりとホールドされてしまった