第57章 焦れる焦燥 ※Rー18
「ん?あげは、どうしたんだ?
昨日、紛い事をした時は、そんな声は
こうしても出さなかっただろう?」
そう杏寿郎が問いかけたくなる理由も
自分が一番…良く分かって居て
「そっ、それは…そのっ」
「君も俺と…、同じ気持ち…なんだと、
俺に言ってはくれないのか?あげは」
私が彼に
耳の縁を舌で舐められただけで
大きな声を上げてしまった
その理由は…ッ 私が
こんな風に今 いつも以上に
杏寿郎を敏感に
感じ取ってしまって居るのは
ソワソワとした焦燥感が
ジリジリと積もるのを感じる
自分が月の物でなければと
そう この数日 何度思っただろうか
杏寿郎に 彼に抱かれたいと
何度 考えただろうか…
「あげは、君からは、そうは
言ってはくれないのか?俺に」
手首は解放されたが
肩の下で腕を掴まれて
押さえ込まれてしまって
そのまま
耳から首筋に舌を這わされる
「君の口から、
言われたいんだがな?俺としては」
「ふぅ、ぁあ、はぁ、
んっ、杏寿郎…あのっ」
求める言葉を 私の口から聞きたいと
杏寿郎が言って来て
ほんの少しばかり
首を舐められているだけなのに
ゾクゾクと全身が震える
変だ 身体… ちょっと触れられただけで
どうしようもない…位に
気持ちいい…って感じてしまって居て
それほどまでに
自分の身体が そうされたいと
彼に抱かれたいのだと
望んでいたのだと気がついてしまって
自覚させられてしまえば
ソワソワと落ち着かなくなって来る
「あげは…、どうした?
落ち付かないのか?」
そうこちらを気遣って
彼は声を掛けてくれているのに
その言葉に返事を返せないでいて
「………」
「どうしたんだ?あげは。
気掛かりでもあるのか?」
そのまま 黙り込んでしまって居ると
杏寿郎がそう声を掛けて来て