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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第57章 焦れる焦燥 ※Rー18



個室に案内されると

向かい合って机の前に腰を降ろした


『いらっしゃいませ、お茶をどうぞ』


すぐにそば茶を出されてしまって



蕎麦屋の二階の個室で食べるのは



当然に 定番の天ぷらそばな訳で



蕎麦は所謂 大衆食で

早い 安い 美味いな食べ物なんだけども



そうでありながらに


蕎麦屋の 二階で食べる蕎麦は…



蕎麦屋の概念に沿わず



注文を受けてから 
蕎麦を打つのが習わしであり


暗黙の了解…でもある



蕎麦を打つのに掛かる時間に
2人の時間を楽しむ物ではあるけど


あげはには 疑問があった



蕎麦を打つのに掛かる時間は


大凡に40分程だ 


そこから茹でても たかだか知れてる


『ご注文は御座いやすか?』


そう注文を取りに来たのは
つまりは蕎麦がどうとかではなくて

この場所をどう使いたいのかと言う意味で


「悪いが…」

『へい、何にしやしょう』

「その分の金は出す、天ぷらも今はいい。
蕎麦も、一刻後でいい…頼めるか?」


そう言って 懐から
握った手を店員に向けて出すと
その手に握らせる

そして 杏寿郎が
店員に対して何かを耳打ちすると

少しだけ握らされた手を開いて
その内容を確認するとニッと店員が笑って


首を縦に振って頷いた



え? 一刻…後?


いや でも… 


たかだか 40分じゃ


彼には足りないのでは?
とは思っては居たけど


一刻…も?なの?


それに 天ぷらも最初から


断っちゃう…感じなの?


そう言う注文も普通にあるのか
注文を取りに来た店員は
杏寿郎の言葉を気にする様子もなくて


『ヘイ、まいど。畏まりやした。
では、一刻後にお届けしやすんで。
どうぞ、ごゆっくり。お過ごし下せぇ』

「ああ、そうだ。言い忘れてたが。」


そう言って去ろうとしていた
店員を杏寿郎が呼び留めると

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