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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第56章 蝶と蜘蛛と



生きている者から

死んだ者へと宛てた手紙


意味の無い物だと

心無い人なら言う様な その手紙を



届ける術を…見出すなど 全くに



あげはらしい考えだ




「届いている…でしょうか?」


不安そうに そう 
あげはが こちらに問いかけて来たので


「届くさ。なにせ、あの父上が
らしくもなく
母上に宛てて書いた恋文だからな。
届いて欲しいと、
願わずに居られないがな。
きっと、母上も
お喜びになられているに違いない」

「はい、そうですね、杏寿郎。
届いて居ると、信じます私も」



もう その姿も分からなくなってしまった

煙の昇って行った先を



2人で肩を並べて 眺めていると




グイっと肩を抱かれて
身体を引き寄せられてしまって


「あげは。
俺の溢れんばかりのこの想いも、
君に伝えて届けたい所だが?」


そう耳元で杏寿郎に囁かれてしまって


「杏寿郎の、お気持ちでありましたら
いつも、十分に
感じさせて頂いておりますので。
その、今は、結構にありますよ?」


「だが、俺としては
今、すぐに君に伝えたいんだが?」

ペシッと額を軽く叩かれてしまって


「ですから、杏寿郎。
ここは墓地にありますよ?
人気が無いとは言え、
お眠りになられている方々が
居られるのでありますよ?
杏寿郎、そのせめて…人目の…」

「少し、どこかに寄り道でもするか?」


寄り道して来てもいいとは
槇寿郎様も出がけに仰っておられたけど


「あっ、あの…杏寿郎?」


丁度 時間的に…は 少しばかり早い

昼食の時間に差し掛かろうとはしていたし


こんな 真昼間に 


男と女が寄り道をする場所…と言えば


槇寿郎様は 何処…であるかは

濁しはしたけど…やっぱり



当然に あそこ…しか無いよね?



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