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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第56章 蝶と蜘蛛と



「あげは。君はひとりじゃない、
君には俺が居る。共に戦おう!彼と」

「はい、頼りにしております!杏寿郎」


つい 杏寿郎の

声の大きさに つられてしまって

自分も声を 腹から張り上げていて


ハッと目の前の杏寿郎の
表情が変わるのが見えて

杏寿郎がそれを感じたのと同じくに
私もそれを感じていたので

一瞬で 
いたたまれない気持ちになりつつも


他の墓参りの人の気配を感じて

慌てて 彼が

私を開放して地面に降ろしてはくれたのだが


その姿を見られた訳でも

聞かれてしまった訳でもないのではあるが


何となくに


その場に 居づらくなってしまって

急いで 墓参りを済ませると


そそくさと 瑠火の墓前を後にして


桶と柄杓を元の置き場へと返却して


杏寿郎が 帰ろうかと
提案をあげはにしようとして

ある事を思いだした


「あげは、
あの父上からの手紙は?
どうするつもりなんだ?」

預かった手紙をどうするのかと
あげはに杏寿郎が尋ねて来る


「ああ、槇寿郎様から瑠火様への
お手紙にありますね?」


墓地の水汲み場の隣の焼却炉の前に
あげはが移動すると
懐から槇寿郎の手紙を取り出した



「杏寿郎、線香の煙と言うのは
下から上に、
天に向かって立ち上りますよね?
線香の煙は
あの世とこの世を繋いで居ると
言われておりますから…ですから…」


その撫子色の封筒に火を移すと

焼却炉の縁に置いた

パチパチと音を立てて

炎の包まれた手紙が燃えて



あっという間に 灰へと変わって行く



その煙が 天へと真っすぐに


伸びて行くのが見える



あげはが静かに 



手紙が燃えて灰になった物が
崩れて 姿を無くす様を見つめていて



それから 視線を移して



空へと昇る 煙を見上げていた




「ですから、こうすれば…
槇寿郎様のお手紙が瑠火様の元へ
届くのではないかと…、
そう…私は思うのですが…」




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