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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第56章 蝶と蜘蛛と


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それから しばらく歩いて
杏寿郎の母である瑠火の眠る墓のある
墓地に着いた


「あげは。水を汲んで来るから、
ここで待っていてくれるか?」

「ええ、そちらは
杏寿郎にお任せ致します。
私はその間に線香に
火を付けておりますので」


水を汲みに向かった
杏寿郎の背中を見送ると

手に引っかけていた巾着から

あの時に残して置いたバラの線香を

あげはが取り出した


その線香にライターで火を点けると
パタパタと手で扇いで
その燃えている線香の火を消す


火の消えた線香から
煙が立ち上り始めて


その香りを確かめる


「いい香り…薔薇の」


匂い袋に使うのに
砕いた線香からも
十分にバラを感じられるだけの
いい香りがして居たが

線香の本来の使い方の方が

何倍にも濃厚にバラの香りを感じる


「あげは、
すまない。待たせたか?
水、汲んで来たぞ。行こう」

「いいえ。杏寿郎。
私も今しがた、こちらに、
火をつけ終えた所にありますので
待っては、おりませんよ?」


綺麗に磨かれた 
煉獄家の墓石を見て


「ここまでピカピカだと、
わざわざに今はお掃除は
必要なさそうにありますね」

磨かれた墓石に
あげはが手を添えるて
その感触を確かめる様にして撫でる

そう言いながらも
軽くその汚れのない墓石の
汚れを落とす様に
あげはがブラシで擦った

「必要は無くても、
こう言った類の物は
気持ち…でもありますから」


そう言いながら そのピカピカの
汚れの無い墓石を 
あげはが見上げた


その あげはの様子を見ながら
杏寿郎はぼんやりと考えていた


千寿郎だろう…か?

そう ふと 杏寿郎が考えてから

いや 待てよ?

とある考えが浮かんで来る


今日俺とあげはにふたりだけで
墓参りに行けと
俺に言いだして来たのは


紛れもなく 父上だったのだから


昨日の内に その足でここに来て

掃除をしたのは父上なのかも知れないと

そんな事を考えていた



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