第56章 蝶と蜘蛛と
彼女を…食らい尽くすのが
目的…か?
彼が あげはを 彼女を
鬼と化したい理由は…
もしかしても もしかにもせずともに
永遠に食らい続ける
そう 終わりのないカニバリズム…が
彼の求める…理想の形なのか…
そして 彼の理想のカニバリズムに
俺が必要とされているとはな
全く持って 末恐ろしい様な
身の毛のよだつような話だ
常人ではない いや彼の思想や思考は
常人のそれとは域を脱しているのだろうが
正気の沙汰ではい事は分かる
彼にだけは 彼女は渡せない
何の企みがあるか 分からんが
彼の 作り上げる 蜘蛛の巣を
完成させる訳には行かん…な
そして その最期の仕上げに
なるつもりも さらさらに無いしな
「あの、杏寿郎?」
じっと俺の顔を見ている
あげはと目が合ってしまって
「何度もお声をお掛けしたのですが、
ぼんやりとされていたご様子でしたので」
「ああ、すまない、あげは。
少し、考え事をしていただけだ」
だが あの悪夢の夜に
彼は何かを
三上透真にしたと言う事になる
でないと 身体の本来の権限は
水柱である方の彼にあるはずだ
いや そうか
あげはが言って居たか
あの悪夢の夜の1年前に
彼は頭部を負傷していて
彼のコントロールを失っていたんだと
だと仮定するなら
偶然的にか故意になのか
彼が頭部をまた負傷する様な
強打する様な事があったのか?
それが…
あの 悪夢の夜が
引き起こされた誘因だとすれば…?
だが あくまで…も
俺の想像の範疇だな…これは
そればかりは
水柱の三上透真にしか分からない事だな
彼と彼はいつからお互いを認識していたのか
身体の権限を彼等が
どれぐらいの比率で有していたのか
彼と彼にしか 知り得ない事だからな