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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第56章 蝶と蜘蛛と



瑠火の眠っている墓地へと向かう
その道すがら 杏寿郎が声を
あげはに掛けて来て


「手…繋ぐか?あげは」

「前に、お屋敷に
お邪魔さして頂いた際は、
皆で、手を繋いで
戻りましたね。横一列で」

空いている方の手で
あげはが自分の
懐の辺りをまた押さえていたので

「読まなくていいのか?あげは。
君に宛てた、父上からの手紙は」

「はい、また落ち着いた時にでも」

「夜にか?」

「ええ。そうですね、お夕飯の後に
お風呂を待っている間にでもと
思っておりますが…、杏寿郎」


「ふむ。そうだな。
俺も、書くか。この頃方々には
手紙は書き通しだったが、
あげは。肝心の君には一度も、
手紙を書いた事が無かったなと。
そう、ふと、父上が君に預けた
その手紙を見て思ってたんだ」

いつも一緒に居るから
手紙を書こうとは 思った事も無かったな

「そう言えば、手紙を書こうとも
思った事が御座いませんでしたね。
私も、手紙は…書くには書きますが。
でも、意外にあります。
槇寿郎様が、
恋文をお書きになられるなんて」

ギュッと杏寿郎が 
あげはの手を握って来て

「恐らくは、あげは。
君の影響なのだろうな。
でないと、あの父上が、恋文など
お書きになられるとは俺も思わん」

驚いた様に あげはが目をぱちぱちと
瞬かせていて 杏寿郎を見ていた

「私の…影響、にありますか?」

「君の故人に対する、考え方が
父上にも影響を及ぼしたんだろうがな。
君に掛れば、死んでても生きてても
同じ様な扱いをされてしまうからな。
それにその君の死生観は、
君のお父上の影響が強い様だしな」

「あの時、父が私を買う事がなく
そのまま、吉原に売られて居たなら。
私はまた違った、
私になって居たかも知れませんし。
買ったのが、父でなければ。
また違う、私に
なって居たのかも知れません」



「なら、あげは。俺は君の
お父上に感謝するよりないな!
君を今の君に育ててくれたのは、
紛れもなくあのお父上だろうからな!」





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