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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第55章 再びましての煉獄家



そうは言いつつも

ガシガシと撫でていた手が

そっと優しく撫でる 手つきに変わって


「お前は、お前だ。あの時のお前が
俺に宛てたあの手紙は、
あの時の俺には届かなかったが。
時を経て、
あの時の俺の元にもちゃんと届いてる…、
俺はそう感じた…と、
お前に言ってやらん事も無い…。
それだけだ」


「槇寿郎…様…、はい…ッ」


「いいから。さっさと行け。
少々遅くなっても構わん。
時間も良い位だし、墓参りがすんだら。
そのまま飯も外で二人で、済ませて来い。
千寿郎がその顔を見たら
心配するだろうからな。
杏寿郎、適当にそいつを、
戻るまでに、泣き止ませて置け」

「どうして俺が、と
言いたくもありますが。
あげはを、こうしたのは
父上にありますよ?…まぁ、
その役は俺の特権だと、俺も
理解してはおりますが…ッ」


グイっと杏寿郎に
身体を引き寄せられてしまって

彼の体温と匂いを意識してしまう


槇寿郎様の前なのに…


それに槇寿郎様も槇寿郎様だ


墓参りが済んだら 

お昼済ませて来い…だなんて

それも

帰りも遅くなってもいいだなんて


「それに、
お言葉にはありますが。父上。
あまり遅くなると、千寿郎が心配します。
遅くなり過ぎぬ内に、戻ります。
では、行って参ります。父上」

「そんな遠慮は要らん、寄り道でも
なんでも、好きなだけして来ればいい。
さっさと、行って来い。頼んだぞ?」

「はい、お預かりしたお手紙
お渡しして参りますので」


槇寿郎に頭を下げて
そのまま 煉獄家を後にした

あげはが自分の懐にある
槇寿郎から預かった
封筒の上から自分の手を当てて

穏やかな表情を浮かべていた

キュっと着物の上から
その存在がそこにあるのを
確かめているかの様で

そんな あげはの横顔を
杏寿郎は眺めていた








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