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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第55章 再びましての煉獄家



「ああ、分かった」


そっと 肩に杏寿郎の手から
その黒留袖を掛けられてしまって

自分の目の前の杏寿郎が
そのまま固まって居るのが見えて


「杏寿郎?如何されましたか?
その、そんなに、
似合いませんでしょうか?」

「いやっ、そうじゃない…あげは。
その、これは黒留袖なのに…、
変な事を考えてしまっていた様だ」

黒留袖を着ている着物の上に掛けて
どんな変な事を考えると言うのだろうか?

「わぁ。姉上。
そうしておられると、まるで
黒の色打掛の様に見えてしまいますね」

「まぁ、元々、婚礼衣装でもあったんだ。
柄も普通の黒留袖よりも、華があるからな。
そうして羽織っていれば、
黒留袖が色打掛の様に見えなくもない」

杏寿郎に続いて 千寿郎と
槇寿郎もそれぞれに思う事を言って来て


「君は柔和な顔立ちをしているから、
淡い色が合いそうだとばかりに、
思って居たが。黒もいいな、
赤も合うが。黒い着物も合う」

「杏寿郎さんに掛かってしまえば、
何もかもが似合うで
済まされてしまいそうにありますが?」


「それに、それには
煉獄の家紋が入っているからな。
今の君は間違いなくに、
俺の妻と言う事だな。あげは」

そう言ってははははと杏寿郎が笑って

「ふん、
しょうもない奴だなお前は。
だから、お前は
気が早いと俺は言ってるんだ」

そう槇寿郎が呆れながら言って



「でも、本当に
お似合いにあります。姉上」


「そ、そうかな?
そうだと良いんだけど…ッ」


そっと自分の肩の辺りを
あげはがその着物を
愛しむ様にして撫でながら
その目を細める


「ええ。とても良く、お似合いです」

「千寿郎…君、ありがとう」


千寿郎の言葉に恥ずかしそうにしながらも
嬉しそうにあげはが答えて

2人して見つめ合ったまま
はにかんだような表情をしていて


そこだけ 別世界の様な空気が流れているのは

傍目からも見て取れていたので


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