第55章 再びましての煉獄家

そのどちらかだけを選べない
そうあげはは言ったが


その両方を望んでいる

杏寿郎の想いと願いを

共に叶えて　寄り添いたいと


考え抜いた結果に得た結論なのだろう


それを　あげはが選ぶと言うのなら…


俺には俺の出来る事を


杏寿郎の父親として　やるべき事を


延いては…　あげはの義父として


自分が成せる事をせねば…な


なぁ？　そう思うだろう…


瑠火…　君も




「だったら、
子供が生まれてからでもいい、
あっちの屋敷を払ってこっちに来い。
お前達にろくに何も父親らしい事を
鬼殺に明け暮れてして来てなかったんだ。
それ位の事をしても罰は当たるまい…」

「え？あの……、父上が…、
その乳飲み子のお世話…を？
なさるのでありますか？」

あの父からそんな言葉が出るとは
千寿郎も驚いたが　
それは杏寿郎もそうであって


「俺に預けるのが不安か？
家には一条と清水が居るし。
それにあっちを払うなら
あの、居るだろう？
あのお喋りな隠の使用人が…」

お喋りな使用人と言うのは…


「春日さんの事にありますか？槇寿郎様。
確かに、槇寿郎様…に乳幼児を預けるのは
私も、気が引けますが…。春日さんが
おられれば、お任せも出来そうにあります」


「お前は、一言余計な奴だな。
あげは。まぁ、俺が
幼子の面倒を見ると言えば、
お前がそう言うのも
無理はないかも知れんが」

そう自分を卑下するような
そんな物言いを槇寿郎がして来て


「父上っ！！僕も…ッ、僕も、
そのっ、お手伝い致します！
ですから姉上は、兄上と共に、
今まで通りに鬼殺隊を続けて下さい！
千寿郎は、兄上と姉上を応援しております」


じわっと槇寿郎と千寿郎のその
言葉に目頭が
熱くなって来るのを感じながら
あげはがその言葉を噛みしめる