第55章 再びましての煉獄家
「せ、千寿郎…君、ありがとう。
その…でも、槇寿郎様。
良いので…ありますか?
自分の子供を、家にお預けして。
日輪刀を振り回して、鬼狩りに
明け暮れる嫁にありますよ?」
「炎柱である、杏寿郎の嫁なら
それ位で、丁度いい…。
それに、じゃじゃ馬のお前が、
大人しく家の留守を
預かる様にも思えんしな」
「それにあげは、君は永年に置いて
俺付きだったはずだが?あげは。
その責務を全うして貰わねばな。
君には俺の隣で。それも、永年に…だ」
「お館様の御命令ならば、絶対だ」
杏寿郎の言葉に槇寿郎がそう言うと
うんと納得の付いた様にして
腕組みをしたままで小さく頷いた
末永く 永年に
炎柱である煉獄杏寿郎付きを
命じられていたと言う事実を思い出した
三方向から自分に視線が注がれていて
思わず恐縮してしまいそうになるが
こんなにも 二人で悩んでいて
答えが中々に出ずにあった事を
こうもあっさりと受け入れてもらえるのかと
驚きもするし この上ない位に
嬉しいと感じずに居られなくて
「よし。なら、善は急げだな!
父上も、千寿郎も
こう言ってくれているんだ。
あげは。早速にでも、…んぐっ」
「杏寿郎さんっ!お口を謹んで下さい」
とんでもない発言をしようとしている
杏寿郎の口あげはをが塞ぐと
冷ややかな視線が槇寿郎から杏寿郎に
向けられていると言う事に気が付いて
「杏寿郎。お前は相変わらず人の話を、
自分の都合の良い様に解釈する奴だな。
お前は俺の話を聞いて居たのか?
俺は、祝言が済んでからと言っただろう?
それだから、お前は
せっかちが過ぎると言ってるんだ」
そう目を伏せたままで
腕組みをして
言うまでもないと言いたげな
顔をしながら槇寿郎が言って来て
あげはは内心 あの列車での
任務での杏寿郎が
自分の話を全部都合のいい方向に
解釈していたのを思い出していた