第55章 再びましての煉獄家
「ウサギは撃たないのか?」
「ウサギは
すばしっこいからな。撃つよりも
罠仕掛けた方が早いかんな。だから
俺が、それを見て回ってたんだ。
ああ、ウサギも美味いけど、
山の肉じゃサルが一番のご馳走だな。
サル美味いからな。
じいちゃんも、
父ちゃんもサル撃った日は
上機嫌で帰って来るもん」
カァーカァーと鴉の鳴き声が聞こえて
その声に反応して
その男の子が空を見上げる
「烏。烏も美味いからな、
腹減ってんだろ?
あの、烏、俺が獲ってやろうか?」
「いや、それはいい、
あの鴉は俺のだ。寛三郎」
空に向けて義勇が手を上げると
バサバサと羽音を立ててよろめきながら
鴉が舞い降りて来て ヨタヨタとよろめく
「兄ちゃん、この烏……年寄りじゃん」
「ああ。随分と長く
…付き合いがあるからな」
「義勇…、手紙ジャ……」
「烏っ、喋ったっ」
「ああ、鴉は頭が良いからな、話位する」
烏が喋って驚いている子供を尻目に
義勇が淡々と返答を返す
足に括り付けられてい手紙を開くと
その手紙の送り主は炎柱の煉獄杏寿郎からで
その手紙の内容を見て 義勇が目を見開くと
「今日は、何月何日だ?」
「え?今日?今日は…」
その差し出された日付から
数日が経過していて
煉獄はもっと早くに
手紙を寄こしてくれていたのに
「スマン…義勇。
ワシノ…、所為ジャ……
失念…シテオッタ…ノジャ」
「いや、寛三郎。
お前の所為じゃない。
俺は、俺の鴉は、
寛三郎しか居ないと思ってる」
こんな事があると言えば ある
手紙を預かった事を忘れてしまう時が
だが こうして俺の所に
遅れてでも持って来てくれる内は
まだ 相方であって欲しいと願っている