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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第54章 忘却の果ての追憶




思えば 私は気が付かなかったけど


その時から 彼の事が


透真さんの事が 好きだったのかも知れない




スッと自分の目から零れた涙を
温かい指先が拭ってくれたのを感じて


その指の持ち主の方をあげはが見上げる


「透真…さん?」


ふっと杏寿郎が
寂し気な笑顔を浮かべつつも
私の顔を見降ろして来て


「残念だが、俺だ。あげは。
良かった、安心したぞ。戻ったんだな」

「すいません、杏寿郎。
過去を…見ていました。
過去にここで起こった出来事の事です。
私は、あの夜の一年前に、11の時に
ここで彼に…乱暴されようとしていたのを、
透真さんが止めてくれた様でした。
あの時の記憶が私から抜け落ちていたのは。
恐らくにでありますが……透真さんが」

「君の記憶を封じていた…からなのだな?」



杏寿郎の言葉にあげはが頷いた

彼女の師範が彼女の記憶を封じていた


その理由も何となくにではあるが

杏寿郎は悟ってしまって居て


彼女をあの時に そう出来なかった事への

腹いせの様にしたのであったとすれば

恐らく まだ男を受け入れる
準備が整っていない 幼い少女の身体なんて


そこまで考えて

それ以上の事を考えるを止めた


考えて仕方のない事は考えるな


俺がその夜の事をあれこれ考えた所で


彼女のその運命を
俺が変えられる訳でも

無かった事に出来る訳でもないのだから


そうは思えども


腹の底から湧き上がる様な

三上透真に対する憤りを感じる


「やはり俺は、あの彼を許す訳には行くまい」

「杏寿郎…?」


「気にするな、あげは。
君は安心するといい。あの三上透真は
俺が斬るつもりにしているからな」


あの彼を斬るともれなく

もう一人の彼の事も
斬る事になるんだけど…と

思わないでもないけど

彼の言いたい事は何となくには

理解があげはにも出来ていたから



「ありがとうございます、杏寿郎」


「にしても、君は存外にモテるんだな」



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