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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第54章 忘却の果ての追憶



彼の中では 彼女の心が

気持ちがどこの誰にあろうとも



あなたはあくまで 私の物…

と 言う事か



そして…

彼の 彼女への愛は




決して 滅びることのない 愛

…なのだから




俺からすれば

恐ろしい程までの執着でしか無いが


愛とは大凡に呼べた物ですらもないしな



彼女が全てを失った あの12歳の夜の


その 1年前から 既に
彼は動いて居たんだ


静かに それでいて 確実に



じわりじわりと音もたてずに



それでいて 少しずつに

彼女を自分の物にする為に動いて居たんだな



彼の愛を 褒められる部分は何一つないが


想って居る 時間だけは



誰よりも 長い…のだけは 事実だな



だが だからだろうかとも

そう思えて来てしまって居て



彼の方が 彼女を鬼にしたがる理由が

見えて来たのかも知れない



自分が それに掛けた時間を埋める為に?


それとも もっと別の何かなのだろうか?



「その時の、事は
思い出せるか?あげは。
あっちの彼は、君に何か言っていたか?」


「あっちの…彼、
もうひとりの方の透真さん…」


杏寿郎の言葉に
あげはの中の記憶が蘇って来たのか

あげはの顔色が真っ青になって

はぁと何もしていないのに
呼吸が少し乱れて来ていて


「あの時…、彼に言われて…意味が
わからずに居たのですが…はぁ……」


ギュッと杏寿郎があげはの身体を
痛い程に強く抱きしめて来て


「思い出さなくていい、あげは。
どうせ、思い出した所で
ろくな記憶でも言葉でも無さそうだ」


もっと 深くに蓋をしてあって

ずっと 沈め込んで隠されていた記憶……


そのまま ガクンとあげはが
その場で膝をついて崩れ落ちて



忘れていた いや 違う


忘れさせられていた…んだ 私


思い出して…しまった…ッ



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