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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第54章 忘却の果ての追憶



前に俺の家で語った

あの悪夢の様な夜の出来事のその後を

あげはがその口から語り始めて


彼女に待っていたのは 

卑劣を極めた

仕打ちでしかなかったのに


それでも 彼女は患者達の家族に対して

その責任を果たすべきだったと


それを 悔いて後悔している…のか?



「だが、あげは。その当時の君は
患者の家族からの私刑で、
大怪我を負っていたし。
心神耗弱であった状態だろう?
とても、その責務を
果たせる状態でもないだろうに。
まだ、年幅も行かぬその時の君に
その責任があったとは、
到底俺には思えないが…」


「でも…、私は…何も…ッ
出来ずに、逃げただけにあります!!
それを後から伝えられて…その後も、
何年も…、あそこに出向いて。
花を手向けに、
行くことすら叶いませんでした。
鬼殺隊になり、任務が忙しいからと
先延ばしにして、柱になったらなったで、
柱の任務が忙しいからと…逃げていて
言い訳に言い訳を重ねていただけにあります」


鬼殺隊の柱は忙しい身の上だ

俺だって 炎柱をしているんだ

それ位の事は理解は 身に染みて出来ている


俺自身が 実家にもろくに帰れず

数か月に一度 戻る様な生活をしていて


母上の墓参りだって 彼岸や盆や命日にと


毎度毎度に出来て
居なかった位なんだから……な


それに あげはには

鬼殺隊の仕事だけじゃなくて

隠と共にその後の事後処理や

蝶屋敷での仕事も合間にこなして

その上に 看護の勉強までしていたんだ


普通の甲の隊士よりも 数倍
忙しい生活を送っていたはずだ


「俺は、そうは思わないがな」


「…っ、杏寿郎?それは…」


あげはがギュウッと自分の膝の辺りの
着物を両手で握りしめていて

そっとその手の上に杏寿郎が手を重ねて
その力を緩める様に促すかのように
なでなでと あげはの手を撫でて来る



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