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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第54章 忘却の果ての追憶


その言葉の通りに唇を食んで
口紅を落とす様な
口付けをされてしまって


「んっ、はぁ…ん゛ッ…」

「…どうだろうか?」


そう言いながら杏寿郎が
あげはの唇から移った紅を
指先で拭いとると

笑みを浮かべならこちらを見て来て

自分の指先に移した紅にそっと
唇を寄せて 
こちらに見せつけて来るから


若干の腹立たしさも憶えつつも
はぁーーーっと
あげはが深いため息をついて

「わかりましたよ、杏寿郎。
私の負けにあります。杏寿郎から
頂いた、小町紅に致しましょう」

その言葉を聞いて
杏寿郎が満面の笑みを浮かべたのは
言うまでもなく

「そうか。君ならそう言ってくれると
思って居たがな!それを聞いて安心した」

「ですので。もう…落とさないで
その、頂きたいの…でありますが?」

差す度に落とされるのを繰り返して
家から出られないなんて事ばかり
毎日の様に繰り返す訳にも行かないし


折角の高価な紅も

差している量よりも

彼に落とされている量の方が

既に多いんじゃないかと

そんな気さえしてしまって仕方ないのだが


「俺の手で差しても?」


「でも、杏寿郎が差すと、唇が
真っ赤になってしまいます…」

「君は色が白いから、
深紅の紅も似合うが。
白い肌に紅の赤が、
冴え冴えとして映え渡るからな」


杏寿郎から紅が差しやすい様に
自分の顎を上げると


顎の下に指先を添えられて
上を向かされる

そのまま 瞼を閉じて

彼が紅を差し終えるのを待った


指の腹が唇を数回 なぞる様に撫でて


「もう…、いいぞ?
あげは。どうだ?」

「ですから、杏寿郎の差し方では
私には、赤すぎると…」

「そうか?なら、少し色を落とすか?」

そう言って唇を寄せて来ようとした
杏寿郎の口を自分の手で押さえて


「結構にありますので、
ご遠慮をいたします。でないと
ここで、紅を差したり落としたり
ばかり繰り返す羽目になりますので。
いつまでも、
ここから発てなくなってしまいます」

「ふむ。手厳しいな」


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