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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第54章 忘却の果ての追憶


キョトンと
あげはが目を丸くさせていて

それから ふふふと笑いだしてしまった

「でしたら、杏寿郎も。
今日はいつもと違う、
杏寿郎にして差し上げましょうか?」

おいでおいでと
鏡台に座っていたあげはが
立ち上がると 杏寿郎に手招きをして来て

鏡台の前の椅子に杏寿郎に
腰を降ろす様に促して来たので

「俺は自分の実家に、帰るだけなんだぞ?
髪型なんていつも通りで…」

構わないと断ろうとした杏寿郎に対して

「いいではありませんか。偶には。
それに、私が、そうしたいんです。
いけませんでしたか?」

「いや、別に断る理由もないからな。
お願いするとしよう!」

鏡台の前に座る杏寿郎の
後ろにあげはが立つと

後頭部で結わえている
杏寿郎の髪紐をあげはが解いた

「うーーん、
見た目通りにありますが。
癖も強いし、毛量も凄いですね…。
纏まりにくそうなので、
少し、香油で押さえますね」

あんず油をあげはの手で全体に
馴染まされて髪を一つに後ろで纏めると
低めの位置でひとつに結わえた


「はい、いいですよ。
杏寿郎。如何ですか?」

「おお。冨岡とお揃いだな」

「この髪型も
お似合いにありますよ?杏寿郎」


あげはがそう言って
にこにこと笑みを浮かべていて

「そうか。何だか首の辺りが
スースーして落ち着かないがな!
だが、似合っていると君が言うなら
喜ばしい事ではあるが…。
なぁ、時にあげは、
今日は俺の贈ったあの紅は…
差してはくれないのか?」

手で自分の風通りの良くなった
首元を押さえながら
杏寿郎がそう返した

「私があれを差すと、
誰かさんが落とすからにあります」

「なら、今差しているのを落とせば…。
俺の贈った方を
差してくれるだろうか?あげは」

スルッと杏寿郎の手が
あげはの頬を撫でて来て


近付けられる顔に口付けの予感を感じて

そのまま 彼からの口付けを受け入れる


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