第53章 期待の募る夜には… R-15
「ん…?どうした?あげは、
眠れないのか?…んッ」
寝ぼけているのか
私が杏寿郎の身体を押しのけようと
しているのに逆に彼に抱きすくめられて
その腕の中に納められてしまうと
そのまま 唇を重ねて来られて
「んっ、ふぁ、んッ
んん゛――んッ、はぁ…、ん」
スルッと杏寿郎の手が胸の方へと
滑り込んで来て
そのまま胸を揉みしだいて来る
「あんっ、ダメ…ッ、やっ…んッ」
「ダメは…ダメだ。なぁ、
…あげは…、もう、一回…」
完全に寝ぼけて 夢と現実と記憶が
一緒くたになってしまっている
杏寿郎の額をペシンとあげはが叩いた
「起きて下さい。
杏寿郎は寝ぼけすぎにあります。
まだ、目が醒めで
ないのであれば。もう一度」
「…っ、何も叩く事は無いだろう?
あげは。俺は、もう起きている」
叩かれた額を押さえながら
完全に目が醒めた杏寿郎が
恨めしそうな視線を
あげはに対して向けて来て
「杏寿郎…、
あのまま眠ってしまっていた様で。
すっかり、私の身体の
あちこちが杏寿郎の匂いに
なってしまっておりますが?」
「流石にここまで匂うのならば。
竈門少年でなくても、
バレてしまそうではあるがな。
なに、朝に風呂に入ればいいだろう?」
「しかし、お言葉にありますが。
この身体のまま、
また寝巻を着るのは少々抵抗が…」
「なら、禊でもするか?
まぁ風呂の湯は冷めてしまっているが、
井戸の水よりは幾分マシだろうがな」
「身体が…流せたら、
どっちでも構いませんよ。私は。
井戸水でも風呂の残り湯でも」
「離れるのか?
あげは…。俺を残してか?」
身体を流しに行こうとして
立ち上がったのを杏寿郎に腕を掴まれて
その場に引き留められてしまって
「もう、杏寿郎…。子供じみた事
しないで頂けませんでしょうか?」
「朝になってから、
身体は流せばいいだろう?」
そう言われてしまって
そのまま布団の中に
その手に引き戻されてしまうと
ギュウウっと
杏寿郎に抱きしめられてしまって
「このまま、抱き合ったままで
眠りたい…んだが?
ダメか?あげは…」