第1章 序章
産屋敷の言葉に思わず杏寿郎が
前のめりになりながら言った
「もちろんです、お館様!!
必ずや、この煉獄杏寿郎!
ご期待に応えてみせましょう!!」
「はは、杏寿郎は頼もしいね。
期待しているよ」
そして 季節は巡り
私は23歳になった
毎年行われる 最終戦別の時期も終わり
桜の咲き誇る 春になっていた
私はお館様に呼ばれ
産屋敷邸に来ていた
直々に頼みたい事があるとの
話だったのだが
「…お館様、暫くぶりでございます。
あげはです」
「ごめんよ、わざわざ
呼び立ててしまって。
すまないね、あげは」
柱でもない ただの一隊士を
わざわざ直接呼んでまで
頼みたい事とは一体何なのか?
「今年の選別で、
5人の子供達が増えたよ」
5人 その数は日々の鬼との
戦いの中で失われていく
命の数からすれば
少ない数なのかもしれない
「今年の子供達の中に、1人、
気にかかる子がいるんだよ。
あげは、君に彼の助けに
なって貰いたいんだ。頼めるかな?」
「それが、お館様のお望みとあられれば。
尽力を尽くします」
と産屋敷に傅いて深く頭を下げた
「柱を動かす訳にも行かなくてね、
君にしか頼めないんだ。
そう言ってくれて、
助かるよ、あげは」
お館様の頼みとは
ある1人の隊士とその妹の助けになって
欲しいとの事だった
鬼になった妹を連れた隊士
彼等はあの鬼舞辻無惨にも
狙われているとの話だった
その隊士の名は“竈門炭治郎“と言った
炭治郎を含む
同期の凸凹トリオとも呼べる
炭治郎・善逸・伊之助の3人と
行動を共にしている内に
気がついた事がある
彼等は日々
目まぐるしい速度で成長を遂げていた
ともすれば 1年もすれば柱に
近づくのではないかと感じさせるような
そんな 才能の片鱗を見せていた
炭治郎達が蝶屋敷に来てから
しのぶちゃんは変わった
いや戻った?と言うべきか
いや 1番大きな変化をしたのは
カナヲの方か
心なしか アオイちゃんも
ちょっと変わった気がするし