第53章 期待の募る夜には… R-15
「んっ、んんっ、
ふぁ、ん゛、ンんッ」
「なら…、
君はあまり良くはないかも
知れないのだが
話していた事を試してみるか?」
ゆっくりと名残を惜しみながら
杏寿郎が唇を離して来て
そうあげはに確認を取る様にして
問いかけて来る
「んっ、はぁ、はぁ……、試す?」
そう言えば
そんな事を呉服屋の帰りに
話をしていた様な気がする
それっぽくする
疑似的な行為…と言ってたな
疑似的にって
どうやってしてるみたいに
するつもり…なんだろう?
「あげは…、試してみても?」
そう問い直されて
その杏寿郎の問いにあげはが
こくりと頷いた
シュルっと杏寿郎の手で
着ている寝巻の帯を解いて来て
そっと身体を布団の上に倒される
そのままその解いた帯を膝の辺りに
巻きつけて来て 軽く両足を伸ばして
揃えたままで縛られてしまった
え? もしかしてこれ…
足…縛られてる……んじゃ
「あっ、あの、
お聞きしたいのでありますが。
その、……杏寿郎…これ…は?」
どうしてそんな事をするのかと
不安そうに尋ねて来たので
「あげは。君は…、
両足しっかりと閉じて置いてくれ」
いや 閉じて置くもなにも
縛られてるから開けないけど…これっ
ちゅうっとこめかみと頬に
口付けを落とされて
「少し、離れるぞ?」
あげはにそう言い残して
杏寿郎が立ち上がると
鏡台の引き出しをガラッと開いて
その中にある あの
しのぶちゃんに貰った
とろみのあるあの液体を出して来て
シュルシュルと衣擦れの音を立てながら
自分の寝巻の帯を解くと
そのままストンと
畳の上に帯と寝巻を落とした
「男の裸なんて…、見ても
どうと言う物でもあるまい?あげは」
そう 思わず
彼に見とれてしまって居たのを
杏寿郎に指摘されてしまって
慌ててその視線を
杏寿郎から逸らそうとすると