第52章 蝶の悩みと晩御飯
俺が気に留めていたのは
そんな事ではないが
春日の目にも見て取れる位に
顔や態度に出ているのであれば
酒でも飲んで
少し 気を紛らわせるのもいいかもな
「工藤もそう言ってるんだ、
うん、そうだな、皆で飲もう。
用意してくれるか?春日」
「はい。炎柱様。畏まりました」
「ああ、杏寿郎さんは
さつまいもがお好きですし、
お口に合うかもしれませんよ?芋焼酎。
さつまいもの香がしますから。
あ、魔王はあまり芋芋してませんが…。
せっかくでしたら、佐藤と飲み比べますか?
工藤さんの、お好みが分からず。
魔王をお渡しして置きながらなのですが。
佐藤の方も買っておりまして」
そう言って 春日とあげはが
台所へと用意をしに行って
自分の隣から離れようとした
あげはの腕を掴んでその場に
俺の隣に居る様にと留め置こうとした
自分の手を反対の手で押さえた
「………」
しばらくすると
春日が人数分の湯飲みをお盆に乗せて来て
それに遅れてあげはも戻って来た
「湯飲みで申し訳ありません、お湯割りに
出来る陶器のお湯割りグラスが
こちらには数がありませんので」
そう言って 春日が
焼酎のお湯割りの入った
色の違う湯飲みを
それぞれのお膳に乗せて行く
「ふむ。さつまいもは好きだが、
芋焼酎は飲んだことが無かったな」
そう言って杏寿郎が
湯飲みを持って鼻を近付けて
その香りを確かめる
ふんわりとさつまいもの香りが広がって
隣で同じように湯飲みに鼻を近付けていた
あげはと目が合って
「さつまいもの甘い香りが、
しっかりとしてますね」
クイッと湯飲みを傾けると
杏寿郎が驚いた様にして目を見開いて
「匂いだけでなく、味もしっかりと
さつまいもの味がするな!美味い。
こんな、焼酎が
美味い物だったとはな!知らなかった」
「同じ、芋焼酎でもこんなにも
味わいや香りに違いがあるのですね
さつまいもの優しい。甘味を感じるので、
女性にも、飲みやすくありますね」