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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第51章 喧嘩の後は…


「しかし、私も…
忘れて行ってしまうのです。
どうにも、
記憶に留めて置きたくても…、
時間が経つにつれて、
死に慣れるにつれて
その記憶のひとつひとつが…、
私の手から零れ落ちてしまうのです…」

コツンと額に額に押し当てられて
思わず驚いて 
自分の額をあげはが押さえた


「俺は、それを忘れる様に努めて来た。
その記憶が、先に進む為の決意を
鈍らせるのではないかとな。
仲間の死を蔑ろにして来た訳ではないが、
記憶に留める為の努力をした事はない」

「鬼殺隊の多くは…私と同じく、
天涯孤独の身の上の者が多くあります。
私は、無くしたくないのです。
彼等がこの世界に、生きていた事を。
死して何も残らないのであれば…、
せめて……、記憶の中に留めて置きたく…」


「あげは、聞かせてくれないか?」

「聞く…とは?」

「君の記憶の中で生きている、
彼等の軌跡についてだが?」


杏寿郎が差し出して来た手を
あげはが取って

そのまま手を繋いで 歩き始めた

自分の記憶の…出来るだけ古い場所に居る

その仲間達の記憶のひとつひとつを


あげはは思い返しながら 

杏寿郎に話した


その隊士達の話を

杏寿郎が頷きながら聞いてくれて




「そう言えば…、君の話を聞いて。
ふと思い返した話なのだが…。
あの5年前に、
俺と君が初めて出会ったあの時に
俺と共にあの山に入った、
隊士が他に数人居ただろう?
俺はあの時に、共に任務をした隊士に
出会う事はあれから無かったが……。
彼等は…どうなったんだ?」

杏寿郎のその質問に
あげはが表情を曇らせる

「あの時…、杏寿郎と共に、
あの山に入山していた隊士の中で。
今も鬼殺隊を続けているのは、
杏寿郎…、貴方だけにあります…よ?」


「あの時の、
生存者は…俺だけだったのか?」


いいえと杏寿郎のその問いかけに
あげはが首を横に振る

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