第51章 喧嘩の後は…
買い物を済ませて
呉服屋を後にする
そのまま しばらく
2人で通りを歩いていると
「あげは。
君に聞きたい事があるのだが。
そこまで、嫌そうな
顔をする様な事なのか?
贈り物をしてそんな嫌そうな、
顔をされる男は、
この狭い国でも俺ぐらいな気がするが?」
自分の隣で浮かない表情のあげはに
杏寿郎が声を掛けて来て
「その、買って貰う事には
こちらも同意しましたし、
選んで欲しいとは言いましたが…その」
「俺としては、あげは。
君に喜んで貰いたいとは思えど、
悲しいんで欲しい訳じゃないんだ。
なら、単刀直入に聞こう。
悪かったのは、着物の枚数か?
君としては、何枚なら良かったんだ?
それとも、別の問題か?値段の方か?」
あげはの浮かない表情の原因を
杏寿郎は知りたい様だった
「いえ、その。元より、
持っている物も少しはありますし。
その蜜璃ちゃんが着ていない物を、
数枚譲ってくれるそうなので。
とりあえずの分があれば…と。
そうですね、きっと蜜璃ちゃんが
譲ってくれるのは小袖だと思うので。
落ち着いた紬が3枚ほど…欲しいなとは
思ってはおりましたが…」
「よし。なら戻るぞ!あげは。
小紋2枚と紬3枚にしよう」
「え?あ、あのっ、杏寿郎??」
そう気を悪くする様子もなく
いつもの調子で杏寿郎が言って
あげはの腕をガシッと掴むと
元来た道を戻って ズンズンと歩き始めて
「あっ、あの…杏寿郎。お気を悪く
されたのでは?ありませんか?
私が杏寿郎からの、贈り物…や、
杏寿郎のその、お気持ちを…
無下にするばかりにあるので…」
「俺しては、君が俺からの贈り物を
無下にしたとは思った事はないがな?
俺が例え何枚着物を買って、
あげは、君に贈ったとしても。
ちゃんと君はそれを着てくれると、
そう思って疑わないがな!」
杏寿郎からの贈り物を
無下にする…と言う言葉が
どうにも あげはの胸で引っかかって居た