第51章 喧嘩の後は…
それを俺が言うと
目の前にいたあげはが
自分の顔を真っ赤にしてしまって
じゃあ あの団子屋の包みで
それを 知ったんじゃなくって
元々杏寿郎は私が
あの団子屋に行った事も
団子を食べずに帰ったって事も
全部 最初っから
知ってたってこと?
それも 知ってて私の口から聞きだそうと
してたって事?
「しかしっ、それは…あの人に私も
杏寿郎がその…、お団子を私に
食べさせたいと
言っていたとお聞きしたので。
それでってだけで…ッ、
別に深い意味があったとか、
その様な事はありませんし?
あの、杏寿郎。
思ったに…なのでありますが、
杏寿郎は、少しばかり
意地が悪くあります…よ?
全て、最初からご存じにあって、
あんな事を私にお聞きに…
なられたのでありましょう?」
そう 今度はあげはの方から
その事を 逆に責める様にして
問いだされてしまって
「いやっ。その…、それは…だな。
意地が悪い…、物言いをしたのは
俺も反省はしている…が。その…、
俺としてはもっと、君の…その辺りの
事をだな。君の口から…聞きたいと。
あげは…、その、怒って…るか?」
「…べっ、別に…、怒ってなど私は
おりませんから。うぅ、…その、
杏寿郎は…、意地悪にありますッ!」
あげはは杏寿郎の言動に対して
すっかり拗ねてしまった様だった
つんっとしながら 顔を逸らされて
目も合わせて貰えてない…からな
「その、言っては…貰えないのか?
俺としては、それを、君に言って欲しい。
あげは…、君の口から、君の言葉で、
君の声で…、俺はそれを聞きたい。
あげは、そうしてはくれまいか?」
そう今度は 随分と先ほどとは
打って変わって下手に出られてしまって
強請る様に乞う様な口調で言われてしまう
「……うっ、そっ、その…えっと」
「あげは。ダメだろうか?」
そう縋る様な目で見つめられてしまうと
断るに断れなくなってしまいそうだ