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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第50章 団子屋事変



「…っ、申し訳ありません、父上。
しかし、俺は…、その様な意図ではなく。
先代の炎柱としての父上を尊敬して
おります故…、その、すいませんッ」

親子にしては改まり過ぎた
口調を指摘されてしまい
杏寿郎が萎縮しながらもそう返事を返した


「俺が、お前に
そうさせてしまっていた時間が、
長すぎて。
その時間がすぐに取り戻せるとは、
俺とて思ってはおらんが…。
杏寿郎。そう…、いづれは…。
成れればいいと考えて…いる」


父上は…お変わりになられた

いや お戻りになれたのに
それなのに…俺の方が…それを

自然に受け入れる事が…
出来ていないのだと

そう 嫌でも実感させられてしまっていて


自分の方が…変わらなければと
そうグッと杏寿郎が
自分の拳を握りしめると


今まで 積み重ねた物を
すぐに取り払う事は出来ないが

少しずつでも 一歩ずつでも

変えなければ…な


「父上…。はい…、そう
俺も、感じております。
それでは、また明日」


そういつもでは去り際にしない
砕けた口調の挨拶を残して杏寿郎が
槇寿郎に小さく頭を下げると


「すまないな、竈門少年。戻ろう」


少し離れた所で
千寿郎と話をしていた炭治郎を
杏寿郎が呼んで 帰ろうと言い出して来て


「待て、杏寿郎…、聞きたい事がある」

そう槇寿郎が 背後から声を掛けて
杏寿郎を引き留めて来て

「何でしょうか?父上」

杏寿郎が槇寿郎の方へと向き直った

「お前は、アイツの
…あげはの育手について
あげはから何か、
話ついでにでも聞いた事はあるか?」


あげはは元々は水の呼吸の剣士
鏡の呼吸も水の呼吸の派生だ

ならば必然的に 彼女の育手は
水の呼吸の使い手であろうが…

彼女の口からその存在については
聞いた記憶らしい記憶は
杏寿郎には無かった




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