第50章 団子屋事変
あげはが俯いていた顔を上げると
ブワッとその身体から
殺気の様な威圧感が
一瞬でその場 一帯に広がった
肌で感じる
ビリビリしやがる
なんつー 気 出してやがんだよ コイツ
あげるのやつ 何やってんだよ?
こんな ひょろっちぃ
弱っちい奴の言葉に
何で こんな反応しちまってんだ?
伊之助があげはから出てる
その異常な空気に
自分の指先が僅かに震えだしそうになる様な
そんな強烈な 威圧感を感じていた
そして それを善逸も
伊之助と同じように感じ取って居て
もう 言葉に出来ない位にッ
その威圧感に息が重苦しくて
上手く 息が吸えそうに無い様な…
重圧が 一帯に広がって居て
「ちょ、あげはさ~ん。押さえてっ。
押さえってってばっ!気、収めてッ。
気持ちわかるけどっ。
押さえてくれよぉ~、お願いだよぉ~」
「貴方がここの、
…団子屋の娘じゃなかったら、
鬼殺隊になって居たとでも
仰るおつもりであられますか?
鬼殺隊は、貴方が思ってる程…
簡単な世界なんかじゃない。
それに…貴方がそんな事を言ったら…、
それこそ…、
杏寿郎さんが何を…守ったのか…。
その意味まで、
揺らがさないで…頂けませんでしょうか?」
フッとその一帯を覆っていた威圧感が消えて
へなへなとその場で
いすゞがへたり込んでしまって
「あーあー、いすゞ、アンタは本当に
しょーもない子だねぇ。アンタと
こっちの姉さんとじゃあ、
まるっきり生きてる世界が違うさね。
この姉さんは、あの兄さんと一緒の世界で
生きてんのさ、アンタじゃ一生敵いやしないよ」
店の奥からいすゞの母親が出て来て
へたり込んでしまったままで
膝が笑ってしまって居て
立ち上がれないいすゞを
よいしょと引っ張って立ち上がらせると
そのまま店の方へと引きずって行く
「いえ、すいません。こちらこそ、
失礼を致してしまいまして。
お恥ずかしい所をお見せしてしまい、
申し訳ありませんでした」
いすゞの母親に向かって
あげはが深く頭を下げた