第50章 団子屋事変
確かに
あの杏寿郎さんの性格じゃあ
こう言う方向への
隠し事はギクシャクしそうだし
あの素直な炭治郎君は
杏寿郎さん以上にギクシャクしそうだ
善逸君がが面白半分でからかおうとして
この話を言って来たんじゃないと知って
善逸君なりの心遣いが見えて来て
「善逸君…、そうだったんだ、
ごめんね?私ったら、ちゃんと
善逸君の話聞かずに、
余計に勘違いしちゃって…て」
後 いすゞちゃんって看板娘の子は
こんな世界とは無縁な
普通の子って感じの子で
若くて くりくりとした目が印象的な
可愛らしい子だった
でもさっきの感じだと
一方的なやり取りだったのは
傍から見ても 明らかだったので
私がここで敢えて彼女に対して
牽制的な嫌味を言う必要も無さそうだ
「コラっ!いすゞっ、お前ッ!またかっ。
もう、今日はお前は下がってろッ。
お客さん、大丈夫ですかィ?
着物の裾が濡れちまってやすぜ?」
そう言って 店の奥から
主人と思われる男性が出て来て
あげはに向かって謝って来て
「――…だって、
…………私だって、団子屋の
娘なんかじゃなかったら良かったのに!
団子屋の娘じゃなくって、
私も、…鬼狩りだったら良かった。
だったら、アンタみたいなおばさんにっ」
鬼狩りだったら 良かっただなんて
杏寿郎が聞いたらと思うと
いすゞの言葉を聞いて
カチンとして来てしまったんだが
いや 決して 決して私が
おばさんって言う部分に反応した訳では…ッ
「こらっ!いすゞっ、お客様に向かって
お前はなんて口聞くんだっ。
すいやせん、お客さん。いすゞ。
気が立ってるのは分かるが、
もう、お前は下がった下がった」
スッと席から無言で
あげはが俯いたまま立ち上がって
「おっ、
お客さん?どうしやしたかィ?」
ギュッと握った拳が
わなわなと震え居ていたのが
あげはの隣に座っていた
伊之助の目には映っていた