第49章 日と炎と
「炭治郎さんは、姉上の事も
ご存じにあられるのですね。
あ!今は、姉上も一緒に
炭治郎さん達と炎屋敷に
お住まいになられて…おられるのだと
兄上からの文で存じております」
会話を繋げようとして
千寿郎がそう言って来て
「いえ。その前から…。
あげはさんには俺の妹の事で色々と、
良くしてもらってましたから。
俺も、俺の妹の禰豆子も…。
あげはさんには、
救われましたから…何度も」
「炭治郎さんもなのですね!
兄上も姉上に、命を救われたと
言っておられました!やはり、姉上は
ご立派な方なのですね。
僕も…、姉上には色々と…
助けて頂いた身なので」
グッと拳を握りしめて
千寿郎がそう言うと
「千寿郎さんの事を…、
あげはさんが?」
「我々の父上は…元柱です。
父上が母上の死後、
剣士を辞めてしまって、
鬼殺隊の柱としての任務を放棄して
毎日を酒に頼るばかりで、
何年もそのままにあったので。
実の親子である、僕や兄上にも
父上を変える事も、
救う事も叶いませんでしたので」
そう言いながらも
その表情に憂いの影が見て取れて
千寿郎は自分の父が以前
そうであった時の事を
思い返している様だった
「煉獄さんと、千寿郎さんの
お父様は、確か、前の炎柱で。
確か…お名前は
煉獄…、槇寿郎さん…でしたよね?
そうでしたか、その様な
理由があったんですね」
先代の炎柱だったとは
甘露寺さんから聞いていたけど…
奥さんを亡くした事が
きっと堪らなく辛かったんだな…
それだけ 煉獄さんのお父さんにとって
奥さんの事が大切な存在だったんだろうな
自分の胸の上に拳を当てて
俯く姿は杏寿郎には無い様な
儚さすら千寿郎から感じてしまって
同じ顔をしているのに
知らず知らずにして
魅入ってしまっていた