第49章 日と炎と
だが 元はと言えば10年前に
初めてアイツに あげはに会った時に
俺が言い出した事…だったな
アイツをあげはを 杏寿郎の嫁にしようと
そう考えたのは 俺だったな
「旦那様、失礼を致します。杏寿郎様と
鬼殺隊の方がお見えになられました」
そう望月が伝えに来て
その箱を槇寿郎がタンスに戻した
「ああ、すまない。
ご苦労だったな、望月。
そちらに行くとしよう」
ーーー
ーー
ー
時を遡る事 少し前…
「竈門少年、ここまで来れば
もう俺の家はすぐそこだ」
住宅が立ち並ぶ辺りに来て
杏寿郎がその速度を緩めて
炭治郎もそれに続いて
速度を落とした
「煉獄さんのお家は、
この辺りなんですね」
閑静な住宅街なのか
大きな家が建ち並んでいる中でも
少し離れた場所に 一軒
周りの家とは比べ物にならない
立派なお屋敷の門構えが見えて来た
その屋敷の玄関の前の道を
竹箒で掃き掃除をしている
一人の少年の姿が見えて
その顔立ちと言い
髪の色と言い
杏寿郎をそのまま小さくした様な
その少年の姿に
思わず炭治郎は
その少年と自分の隣に居る
杏寿郎とを交互見ては
「えっ?煉獄さんが
…小さくなって…る?」
その少年と杏寿郎を指さした
「兄上!お帰りなさい。
そちらの方が鬼殺隊の方ですね。
今日はようこそお越し下さいまして」
千寿郎が炭治郎に挨拶をして来て
「初めましてっ!俺は
竈門炭治郎と申しますっ、
えと…煉獄さん…の
弟さんでいいんです…よね?」
どう呼んだらいいのかに
炭治郎が戸惑ってしまって
とりあえず煉獄さんと呼んではみたものの
どちらも煉獄さんだと気が付いて
慌てて弟さんを付け足した
ニコッと目の前の千寿郎が微笑んで
炭治郎もその笑顔に
つられる様にして微笑んだ
顔立ちは煉獄さんにそっくりだけど
眉毛の印象からか
穏やかな雰囲気を感じるな
それに…匂いもそうだ
心優しくて 穏やかな匂いがする
真っすぐで
煉獄さんの事を慕ってるのが良く分かる