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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第7章 長い一日


「だったら、見つめられるのは?」

ダメダメと言ってるのでこれもダメとは
言いにくくて
しばらく杏寿郎と視線を合わせる
この瞳に見つめられていると
目の奥の更に奥の方まで
見透かされて行くんじゃって
思ってしまう…

「あげは」

不意に名前を呼ばれて
「何でしょうか?」
「俺の、名前を…
呼んではくれないだろうか?」

えっと この場合…
彼が呼んで欲しいと思ってるのは
いつもの“煉獄君”ではなくて…
きっと下の名前の事なのだろう

「呼んで欲しいのだが、ダメだろうか?」

乞うような視線を向けられると
呼んであげないとは
言いにくくなってしまう

「杏…寿郎…さん」
「ん?なぜ、さんが付く?俺は呼び捨てて
もらって、構わないが?」
呼び方が気に入らなかったようで
杏寿郎は不満気に漏らした

「そ…、それは、…できそうにないので。
…ご容赦を…」
「うむ。そう言われてしまうと、
俺もこれ以上、強要…できんな
まぁ、慌てる必要もない。その内でも
構わないからな!」

それは その内に彼を呼び捨てて
呼ばないといけないって事だよね?

「すまなかったな。あげは」

これは何に対しての謝罪なのだろうか?

「俺が、生きる事を諦めた…時が
あっただろう?」
「死んでもらったら、…私が、困ります」
プンッと口を尖らせて
あげはが拗ねたように言った
「君には、礼を何度言っても
感謝しきれないし。何度謝罪しても、
謝り切れない…な」

謝る?何にだろうか?
顔にできた傷の事だろうか?

「これなら、謝って頂くほどの
物ではないですから、顔の傷なら、
化粧で幾らでも隠せます…って隠せ」

ピタッと自分の顔の傷の辺りを
確かめるように
手を顔のガーゼの上に当てる

ー顔 ガーゼ当たって…るー

「わ、わ、私っ!い、今っ…すっぴんっ
ですよね?」
「ああ、それがどうかしたのか?君は素顔も、
いつも以上に可愛らしいと思うぞ。
少女の様だな」

その口調と笑顔から お世辞ではなく
本心でそう言ってるのはわかるが

あげはは俺の返事を
聞いているのか聞いていないのか
そそくさと自分のベットへ戻ると
背中をこちらへ向けて布団を
頭まですっぽりと被って潜ってしまった

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