第7章 長い一日
「よもや、君は、大胆な女性
だったんだな…!君に…、
そうされるのは…やぶさかではないが」
「何か、大きな誤解が生まれて
いる様ですが、絶対安静指示中
ですので!ご安静に願います」
両肩をあげはに両手で押さえられて
起き上がるなとベットに固定される
「…いや、しかし、君が無事で良かった
ものの。全く、君は人の言うことを
聞かないんだな!流石の俺も肝が
冷えたぞ!…生きた心地がしなかった…」
「良く言いますよ、そんな事。
一時的に血圧が下がって、
貴方だって危険だったんですから…」
下から腕を伸ばされて
背中と肩に添えられたかと思うと
生死の狭間を彷徨った人の力とは
思えない力で体を引き寄せられて
抱きすくめられてしまった
杏寿郎の胸に顔を
押し当てる形になり
ドクン ドクンと杏寿郎の心音が
耳から入って来る
「それに君は…、俺の命令を
守らなかったな?」
すぐ耳の側で杏寿郎の声がして
「そ、それに関しましては…、紛れもない
事実ですし。然るべき処罰に…従います」
「しばらく、このままで良いだろうか?」
このままとは杏寿郎の体に
寄りかかって抱き留められている
姿勢のままと言うことだ
「確かに…安静は、
守られているようにありますが…」
この体勢では
重いのではないだろうか?
体に傷だってあるのに…
「あ、あの、重くは…ないですか?
傷当たったり…とか」
「持ち上げてるわけでも無いんだ、問題ない。
それよりも、君はいいのか?」
いいとは一体 何の事だろう?
「何が…ですか?」
「わからないのか?俺に、嗅がれて
しまうかも知れないぞ?」
「か、嗅がないで下さいっ!ダメです」
「ダメはダメだ!」
ダメだと言ったのを否定されて
首元に顔を埋められてしまう
「や、ですよ。嗅いだら…ダメですっ」
「ん?そのダメの言い方はいいな。君は、
可愛いな」
気恥ずかしくなって杏寿郎を制止する
「か、可愛いも…、ダメって
言ってるのにっ…」
「やはり、君は…ダメが多いな。だったら…」
抱きすくめられていた
両腕が緩んで離れたと思うと
顔を見せろと言いたげに
両手を顔に添えられて顔を
上げさせられる
「れ、煉獄…君?」
「だったら、見つめられるのは?」