第48章 嵐、束の間の静けさのち嵐 後編
女の私の目で見ても
際立った 息を飲むような美しさだと感じる
師範は…仙人なんじゃないかって
私は思ってる
フッと師範がその口の端を曲げて
『まぁ、お前なら
こんなもんか。…妥協の点だな』
と褒めてるのか褒めてないのか
そう師範が言って
自分の日輪刀を鞘に納めた
「師範…、師範は
歳をお召しにはならないのですか?
それとも、時間の理すらも
もう超越されておられるのですか?」
「ん?そんな事はないぞ?
私も人なりに歳は取るからな。
時の流れは無常でもあり、あくまで
万物に対して平等だ。
そっちこそ、前に会った時から歳を
取ってないんじゃないか?あげは。
いくつになったんだったか?20か?」
そう言って一見すると
ただの美女にしか見えないのだが
くすくすくすと口元に手をあてて
妖艶に笑う姿だけを見て居れば
20代の後半から30代の前半でも
十分に通じそうだが
師範の年齢は
40代の半ば過ぎのハズだけど
仙人でないとすれば
魔女なんじゃないかな?うちの師範って
「私は、20じゃないです、
23ですよ。っと、師範は
いつもは山にお籠りのハズでは。
何故、今日はこちらに?」
「お館様から、文を頂戴したからな。
透真…と戦うのだろう?
話は聞いている。あげは。
透真は…、自慢の愛弟子だ。
私が育手として手塩に掛けて
育てた中でも、透真はズバ抜けて居た。
その性格の所為で、
柱になるのに数年掛ったが…。
まぁ、お前は…そうだな、
良くて4番目か
それぐらいだったけどな」
カチンとその言葉に来てしまった
良くて4番目とかって
もう 悪かったら4番目以下って事でしょ?
もう こう何て言うか
いちいち 言葉の切れ味が鋭い
ちょっと話をすれば
大きく心を根こそぎえぐり取られかねないし
一言一言が 致命傷でしかない