第48章 嵐、束の間の静けさのち嵐 後編
そうしている間にも
お互いに地面へと落下してるのだから
ストンっと速度をいつもとは逆に
加速させて先にあげはが着地すると
その場で師範の落下点に対して
方向を切り替えて重点をずらし
地面を蹴って踏み込むと
攻撃を仕掛ける
「炎雷の呼吸ッ 霹靂不知火っ」
炎にバチバチと電気を纏わせながら
ドンッと更に地面を蹴った
あげはの姿が消える
ヒュンッと横に薙いだ
その刀には 手応えは無かった
居ない!避けられた?
「炎の呼吸 壱の型 不知火・双」
そのまま 手応えはないが
師範が避けたであろう 方向へ追撃を繰り出すと
『馬鹿の一つ憶えか、馬鹿弟子
水の呼吸 肆ノ型 打ち潮』
不知火の連撃を
打ち潮の水の流れで軌道を修正されてしまって
その師範の流れに 太刀筋だけでなく
戦いの流れまで 流されて支配されている様に感じる
流される 流されて行く
攻撃がことごとく 通らない
放つ攻撃が全て 受け流されて行く
流れ流され 流れゆくままに
繰り出せど 繰り出せど
次々に流される
「…くッ…」
師範は 強い
実力は 現役の柱と今も変わらない
私の攻撃を受け流す戦闘のスタイルは
元々は師範が得意としていた
柔の剣…
柔軟な流れを持つ 水の呼吸だからこそ
その特徴を最大限に引き出した使い方だ
『ほらほら、どうしたぁ?
もう終わりか?あげは。
つまらんのう。
お前の力はそんなもんか?
今は女も自分から積極的に攻めて
攻める時代じゃないのか?あげは』
こっちを挑発するような口調で
師範があげはに言って来て
スゥウウウウッ
スゥウウウッ
水の呼吸に水の呼吸を重ねて
二段呼吸に切り替える
「師範はっ、いつも
攻めすぎッなんですよっ。
大和撫子たるものは、
奥ゆかしくあらねばっ!
水の呼吸 参ノ型 流流舞い」