第48章 嵐、束の間の静けさのち嵐 後編
「甘ちゃん?甘くて結構ッ…、
甘いなら甘いでいい」
『あげは、今度は開き直りか?
おお、甘い甘い。
なら、その甘ちょろい考えごと
お前をねじ伏せてやろう。私の水圧で』
私は私でいい…って
杏寿郎がそう…言ってくれたんだから
甘いなら そのままでも良いって
この優しさは弱さなんかじゃないって
「甘いのならば一層の事、
琥珀糖…位まで、
甘くなるのもいいかも…ね?」
私は 私のやり方で…上を
もっと 上を 私は…もっと
高みを目指す!!杏寿郎と一緒に
キィイイイインッ
あげはの周囲を守る様に
鏡の壁が5枚取り囲んで
スッと弧を描いて日輪刀を振りぬく
ガシャンと砕けた鏡が
ゴォオッと炎の渦に包まれて飲み込まれて
燃ゆる炎の中で
キラキラと赤い炎を映して輝く
「鏡炎の呼吸 鏡炎のうねりッ!」
盛炎のうねりに鏡面の特性を合わせた型ッ…
杏寿郎の 盛炎のうねりを見せて貰ったのは
この型の複合の為
元々 鏡面も盛炎のうねりも
防御に特化した型
二重の防御壁は
鏡面で受け止められない物も受け止められるし
それに…
この型の
鏡面と 大きく異なる特徴は
そのまま 自分の前に出来た
鏡と炎の渦で 水の竜を受け止めると
「やぁあああああっ!」
グインと あげはが日輪刀を振り抜いた
炎の渦の中の小さな鏡の欠片が
あげはのその動きに合わせて反転し
その鏡の破片から
水が弓の様になって放出されて行く
鏡を砕いてるから
鏡面の様なダメージ蓄積は出来ないけど
その場で反転させて
威力が控え目な物を返せるから
攻防一体…の型
混戦時にも…役に立つはず
ヒュンヒュンッと次から次に
数十本の水の矢がその竜の元である
師範の方へと向かって行く