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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第48章 嵐、束の間の静けさのち嵐 後編


「私、ですか?
私は13の時からですから。
もう…、10年隊士をしてますが…」

フッとこちらを見ていた
春日の顔が穏やかな笑顔に変わって

「そうであられましたか。
それは、あげは様もご立派であられます。
10年にも渡って、ずっと戦って来られて」

「春日さん…」

「私は、鬼狩りになれるだけの
剣士としての、
才能はありませんでしたから…。
鬼に対する憎しみこそはありましたが…。
でも…こうして、彼らを見て居ると。
自分に戦う力が無いのが悔しくて」


春日のその言葉は
春日にとって大切な誰かを
当たり前の日常を 鬼が…
いたずらに奪ったと言う事を


知るには十分だった


皆が 同じなのだ


鬼へ対する 行き場のない恨み…

憎しみ 悲しみ


もう二度と

戻る事のない 日常…


それは ずっと心の奥底にあり続ける


最初から 知れているし分かってるんだ


親や兄弟の恋人の はたまた子供の…
その仇の鬼の首をはねた所で


それが戻らない

戻る訳もないのだから


鬼を10体 狩ろうと

100体 狩ろうと


ぐっとあげはが自分の拳を握りしめた


何も 変わらないのだ


そう 何一つ 変わらないのだ


昨日も誰かが 鬼の所為で 

悲しみの涙を流していて

今日も誰かが 鬼の所為で

いたずらに その命を失う


終わりのない 戦いでしかない


鬼殺隊のしている事は


例えるのなら


只のその場凌ぎの


対症療法でしかない


ずっと それを感じていた


自分達がしている事は


根治治療ではないのだ…と言う現実に


だからと言って何が出来るのかと

そう問われれば 
それしか出来ないでいて


自分が失った物を 
誰かに失わせない為に戦う


その為の力を欲して

血のにじむような努力を積み重ねる




ただ それだけなのだ





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