第47章 嵐、束の間の静けさのち嵐 前編
「杏寿郎の考え過ぎです。
だったら…杏寿郎は、
私が不死川君の事が好きだったとでも、
言えば納得するんですか?」
と言ってしまって
自分でも嫌らしい言い方を
してしまったと思っても
口から先に出てしまっていた後だった
ガッと腕を杏寿郎に掴まれてしまって
睨みつける様な視線を向けられる
「そんな言葉で、
俺の納得が行くと思うか?」
不死川君に対する好意を…少なからずに
意識して居たのは
紛れもない事実ではあるけど
少なくても
それは 過去…の話でしか無いのに
不死川君の事が好きだった…と言う
私の言葉では 杏寿郎は
納得が出来ないと言って来て
「じゃあ、杏寿郎はどう言ったら
納得が付くんです?今は
不死川君の事は何ともなくて、
杏寿郎が好きだと言えば付きますか?
兎に角、杏寿郎。
ここは往来にありますから、お屋敷に…」
「話は、屋敷に着いてから…だな」
そのまま無言で炎屋敷まで戻って来たけど
道中も杏寿郎からはピリピリした物を感じるし
何もないのに何を疑われているのやら
やましい事なんてないし
ないもん ないからっ ないない
杏寿郎は何が気に入らなくて
何に引っかかって居て…
どうしたい…って思ってるのやら
いや その変にあの時の
縁側で話してた時の不死川君の事を
異性として意識して
身構えてしまったのは
事実ではあるけど…
そのまま炎屋敷に戻って
広間の中央に正座をして向かい合う
長い沈黙が包んで
秒針の音が響いていた
10分ほどそのまま時間が過ぎて
杏寿郎は何も言わないままでいて
機嫌が悪そうな顔をしたままで
腕組みをしたまま 何かを考えている様で
空気が重い
「あの、杏寿郎?
いつまで黙っておいでですか?
杏寿郎が、私と
不死川君の事を疑っておいでなのは
分かったのですが、私と不死川君とは…
杏寿郎が思う様な間柄では…」