第47章 嵐、束の間の静けさのち嵐 前編
「それはその、炭治郎君と
禰豆子ちゃんに
ちゃんと謝っておられますよね?
杏寿郎。炭治郎君は
怒ってないと言ってましたが…。
杏寿郎ともあろう方が、
その様な浅慮をするなんて」
じとっとした視線を
あげはが杏寿郎に向けて来て
「それはそうかもしれないが、
あげは。話を戻してもいいか?
不死川とは何かあったのか?
俺が聞いたのは、
そっちじゃない方の何かだ。
単に、おはぎを届けただけにしては
随分と熱心な
見送りだったなと思ったからな!
君と不死川はどんな関係なんだ?」
その杏寿郎の言葉に
今 何かあったのか?ではなくて
今までに 何かあったのか?の意味が
含まれているのだと 感じ取った
どんな 関係って…
「別に、どうもこうも無いです…。
私と、不死川君とは何も。
杏寿郎だってあの時、
定食屋で一緒に居たのですから
知ってるじゃないですか。
不死川君とは、
柱時代に一緒に仕事をしてた時があって。
私が、柱を辞めた後も何度も、
私に柱に戻る様に説得して来てて。
偶にあんな風に、
食事をしてた位ですので…」
って距離 近いッ
すぐ目の前に杏寿郎の顔があって
お互いの鼻と鼻がぶつかりそうな距離だ
「不死川の好意は、
君とて知ってたんだろう?
あげは、
あまり俺を不安にさせてくれるな」
「杏寿郎だって、ご存じなのでは?
それにそこはご心配頂かなくても。
その貴方の仰る不死川君には、
杏寿郎に守って貰うようにと
そう今しがたに、
釘を刺された所にありますよ?」
あげはの言葉に
杏寿郎が目を大きく見開いて
意外だと驚いている様子だった
「不死川が君に、
そんな事を言ったのか?」
「そうにありますよ。
その、さっきの事ですけど。
杏寿郎は私の事を疑っておいでで?」
「疑いたくもなる。
君と不死川の間にある感情は、
どうにも、
同僚の垣根を超えている気がしてならん」
同僚の垣根…を超えているのなら
杏寿郎の目には
私と不死川君はどう見えてるのやら