第47章 嵐、束の間の静けさのち嵐 前編
「あげは!探したぞ。ここに居たのか?
俺はこれから竈門少年と俺の家へ行くが。
その間、君はどうする?君も来るか?」
背後から杏寿郎の声が聞こえて
あげはが声の方へと向き直った
「でしたら、私は。
その間に、明日の
荷物でも纏めておきます。
振袖も陰干ししているので、
留守にもできませんし。荷物と一緒に
用意したりしないと行けませんので。
それとは別にも少々、
したい事もありますので。ご遠慮します。
杏寿郎の袴も一緒に干しましょうか?」
「いや、俺の紋付き袴は実家だからな。
あっちには望月がいるからな、
望月がしてくれているだろう」
まあ 確かに
鬼殺隊としては
隊服が正装の扱いだから
隊士の結婚式に呼ばれたとしても
五つ紋の紋付き袴なんて格が高すぎるし
隊服出ればいいもんね
着る機会がないからこっちには要らないか
じっと私の顔を見ている
杏寿郎と目が合ってしまった
「不死川と何かあったのか?」
その杏寿郎の言葉にどきりと胸が跳ねる
実際何かがあった訳じゃないけど
あの手合わせをする前まで
私と不死川君との間に 一種の
妙な空気があったのは確かだった
それに今だって 変な期待みたいなのを
してしまったのは事実だけど
「いえ、何も…、
前に禰豆子ちゃんの事を、
不死川君が、刺したと聞いたので
不死川君の事を粛清しようかと。
そんなんだったら、
あの場を隠とカナヲに任せて
私も、そっちへ行けば良かったなって。
あの時の杏寿郎の事も、聞きましたから」
あげはの口調が強くなったのを感じて
杏寿郎が思わず少し身構えながら
「いや、そのあの時の事か?
あの時は、俺も
鬼は滅するべきだと思って居たし、
竈門妹の事を知らな過ぎたんだ。
斬首するべきだと、
提言した事は反省して居るッ!!
だから、あげは…許してくれるか?」
杏寿郎がそうあげはに謝って来る