第46章 蝶の憂いと私刑執行?
「そりゃ…ぁ、強くもなるよ。
強くならないとダメなんだよ。
それも、今すぐに!強くならないと
いけない理由があるから…」
「そら、あれかァ?透真サン倒すからかァ?」
「それもあるけど、杏寿郎を守る為っ」
あげはの発言に不死川が目を見開いて
それから何を言ってるんだと言いたげに
その顔を顰めた
「あん?何でお前が煉獄を守るんだよ?
男に任せときゃあいいだろ、んなもん。
女は男に守られてりゃいいだろうがよ!」
「そうかも知れないけど、
私がそうしたいのっ!杏寿郎を守りたい。
あ、これ、おはぎ。持って帰ってね」
「ん、悪ぃな。あげは…、あのよォ」
「何?不死川君…」
お互いの視線が絡み合ったままで
そのほんの数秒が
凄く 長く感じてしまって
不死川が紡ぐ
言葉の先が気になってしまっていて
って 私は一体 何に期待してるんだろ?
「あげは、
俺は……、その、あれだァ」
不死川君とは そんなんじゃ
無いのに…
「ちゃんと、煉獄にも守られてやれよ?」
そう言ってふんわりと不死川が
普段見せない様な穏やかな
笑顔を浮かべて
「じゃあな」
そのまま不死川は小脇に
おはぎを抱えて行ってしまった
あげははその場で呆然してしまっていて
「不死川君って、
あんな顔して笑えたんだ…知らなかった」
あげははそのまま
雑踏に飲まれて行く不死川の背中を見送った