第6章 無限列車にて 後編
「は?何で?何で止めなかったの?
2人共、ねぇ?何して…たんだよ…」
善逸ならすがりついてでも
あげはさんを止めて
くれたかもしれない
「ごめん。でも…止められなかったんだ
…俺も、伊之助も…ごめん」
だって
あの時のあげはさんのあの匂い…
あの感情を知ってしまったら
止める事なんか俺には出来ない
「炭…治郎、伊之助…お前…ら」
2人共 止めたかったんだ
でも 止められなかった
2人共 それが分かってて
止めなかったんだ
どっちかだけ生き残るかもしれないし
どっちも死んでしまうかもしれない
「…でも、俺さ、嫌だよ!…
死んで欲しくなんかないよ!
…あの…2人には…さ。だって…」
だって あの2人ってさ
あの2人から聞こえてた
あの音ってさ…
ああ だからか
炭治郎にも分かるから
だから 止められなかったんだ
「そうだよな…分かるよ、炭治郎。
俺も、そうしたと思うし。
俺は、2人を信じるよ。そうだろ?」
そう言って目に涙を溜めたまま
善逸が笑った
「善逸」
「紋逸…、お前っ!
いい事言うじゃねーか!たまにはな!」
伊之助がバンバンと善逸の背中を叩いた
「たまにはは、余計なんだよ!!」
その伊之助と善逸のやり取りを見て
炭治郎が笑った 目に涙を浮かべながら
「でも、確かに善逸の言う通りだ!」
「あん?何がだ?紋治郎」
「炭治郎?」
「俺も、信じるよ!あのふたりを、信じる!」
力強く炭治郎が言って 笑った
「ぬははははっ!当然!!」
伊之助が笑いながら
炭治郎と善逸の肩に腕を回した
「わぁああっ、何すんだよ。
伊之助っ!危ないだろ!」
「はははははっ、こら、
よさないか、伊之助」
信じて 待つ 俺たちには
それしか できないから……
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今更ながら初めまして、
ご挨拶が遅れました。
野宮おるはと言います。
煉獄さんには無限列車は外せないと
思いまして、私なりの
無限列車編を書いてみました。
ご感想等頂ければ、幸いです。
ここからは、お話の糖度が
ぐっと上がってくるので
この先もお付き合い頂ければ、幸いです。