第45章 蝶の跡は月夜に舞う
「ダメな物はダメにあります、
そんな顔をしても、ダメですので」
「ああ、沢山がダメなら、
大きいのにすればいいのだな!」
蝶を増やすなと釘を刺したら
彼は今度はそう言って来て
「そう言う理屈ではありませんよ?
杏寿郎っ。兎に角、ダメな物は
ダメにありますっ」
杏寿郎が指先を
宙に向けて図形を描いて
「なら、あげは。
3つ2つと3つ2つを
上段にして、下段に
2つ2つでどうだ?」
そう嬉々とした顔をしながら言って来て
彼は蝶々職人にでも
転職するつもりなのだろうかと
あげははぼんやりとその話を聞きながら
脳内でその図形を想像して居ると
「ああ、それとも、上の羽は
3つ2つ1つにした方がいいだろうか?
その方が、形のバランスが良さそうだ」
そう杏寿郎が形を脳内で想像して
上段をそう整えた方がいいかと尋ねて来て
「いえ、杏寿郎そもそもの根本的な
問題はそこにはありませんよ?杏寿郎。
片方の羽を形成するのに7つですよ?
それに脳内で想像するに、大きさも
全体で4,5×6位になりませんか?」
「うむ。そう…だな、
それ位になるかも知れんな」
じっとあげはが
杏寿郎の方も見つめて来て
ニコニコと笑顔を浮かべて来て
その笑顔に
只ならぬ物が込もっているのは
杏寿郎にも感じ取れたが
物事には何事も限度って物があるんだと
言い出しにくくなってしまった
どう考えてもそんな全体の形に
蝶々1匹に
14個も跡を付けられるのは困る
「ダメですからね?杏寿郎。
蝶の数を増やすのも、大きさを
増やすのも容認はしかねます。
って、あからさまに
嫌そうな顔をするのを
止めて頂けませんんか?
私が悪者みたいじゃないですかっ。
それに、そんな方向に
それを進化させないで頂きたく…」