第45章 蝶の跡は月夜に舞う
「あの、…杏寿郎…」
身体に回されている腕が
自分の胸に当たるのを
変に意識してしまっていて
彼の指が私の唇をなぞって来て
その指先で感触を
確かめる様に触れて来るから
杏寿郎…口付けするの断ったからかな?
もっと口付けしたかったのかな?
そうしたい…って 思ってる…の?
「んっ、…あの…、杏寿郎…、
でも、杏寿郎も
そろそろお休みになりませんと。
私も部屋にそろそろ
戻らねばなりませんし…だから」
離して欲しいと訴え掛けてはみるが
ガッシリと腕に閉じ込められていて
身じろぐのも厳しいのが現実だったり
「確か…あげは。
君の項にも…、
昼間に跡を付けていたか」
そうしみじみと杏寿郎が漏らして
ドキリと胸が跳ねてしまった
「俺が…、何を言うか分かったようだな」
スルッと指先が項に桜の木の所で残された
印の上に触れて来て
杏寿郎がそう指摘してくる通りに
彼の考えている事が分かってしまった
「あの…杏寿郎。
その、外からは…見えない様に…ッ」
「ああ、分かった。善処するとしよう」
そう言われながらも
寝巻の襟をすかされてしまって
項を晒されると
彼の指先があの時の印に触れて来て
彼が何をするつもりなのかは
あげはにも理解が出来ていて
こっちの印も彼は
蝶に変えるつもりなのだろう
チュゥ…と軽く歯を立てられて
数回その印の周囲を吸い上げられると
「…んっ…」
「これで…、2匹目だな…」
「余り、お仲間をあちこちに
増やしては頂きたくは無いのですが…ッ」
「むっ、それはどうしてだ?あげは。
蝶は花に引き寄せられる物だろう?
ここに花があるんだ、
集まるのは当然の事じゃないのか?」
あげはの言葉に心外だとでも
言いたげに杏寿郎が返して来たので
「私の身体で昆虫採集を、
しないで頂きたくあるのですが?
またそんな上手い事言って、
誤魔化したおつもりにあられますか?
身体中が蝶々だらけとか
嫌ですからね!!私は」
「沢山はダメなのか?」
そう何がダメなのか分からないと
言いたげな顔をして杏寿郎が尋ねて来て