第45章 蝶の跡は月夜に舞う
「…俺は、寝る、そう寝る」
カチカチ コチコチ
カチコチ…
眠れない 意識すればするほど
目が冴えてしまっていて
あげはと杏寿郎が身体を起こして
「そうだ!素振りだ、
素振りをするとしよう!!」
素振りながら禊の後にも
少しばかりした所ではあるが…
素振りをしていれば 精神も落ち着くだろうし
素振りをして 適度に疲労すれば
自然と眠気も起こって来るはずだ
そう思って杏寿郎が自室を後にした
日付が変わってしばらくした頃に
不意に尿意を憶えて
炭治郎が床を抜け出して
厠へ行こうとした時
誰かの気配が中庭にあって
こんな時間に誰だろう?
この匂い…煉獄さん…?
そっと障子の影から
その気配に目を向けると
中庭には月を背負って
素振りに励む杏寿郎の姿があった
「煉獄さん、
こんな時間に稽古してたんだ
知らなかった…。
煉獄さん程の人がそれだけ
今度の戦いに備えてるんだ。
俺も、こうしちゃいられない。
明日からの鍛錬も、
身を引き締めて行かなくちゃな」
そう決意を新たにして
炭治郎はその様子を見守っていた
杏寿郎の素振りの邪魔をしない様に
炭治郎は厠へ向かうと
与えられている部屋へと戻っていた
帰りにも通りかかったけど
煉獄さんの素振り 綺麗だな
無駄を極力落とした動き
洗練されてる
「よし!俺も頑張ろ!!」
そう決意を新たにした炭治郎であった
ーーー
ーー
ー
顔…の上になんか乗ってる…
と言うか柔らかいけど重たいっ…
それになんか…
息苦しいんだけど…何?
この柔らかいのっ 息しにくい
「ん゛、うぅ~ん?苦し…い」
柔らかい何かに顔を塞がれて
息苦しさを憶えてあげはが目を醒ました
そうだ 私あのまま
蜜璃ちゃんにトントンされて
そのまま寝ちゃってたんだ
じゃあ これアレだ!
頭の下の柔らかい感触は
蜜璃ちゃんの太ももで
顔に乗ってるこっちの
ふわふわした柔らかい…のは…